ALPS クイックエース
自転車として最初の1台では無いのだけれど、今日まで自転車と長くつきあうきっかけを作った1台。これより前には兄のお下がりの富士自転車の10段変速、ドロップハンドルに乗っていたが、これも後から気づくとディレーラーにHuret(ユーレー)のSvelt(ズベルト)が付いていたりしてなかなかのものだったのです(残念ながらこのSveltはどこに行ったかわからないまま)。写真は30年以上たった現在のもので、オリジナルと大きく違うのはフロントキャリアをはずしたぐらい。アルミのバッグサポーターは試しに付けてみたところで、その後はあまり使っていない。
中学生のある日、東京神田のALPS自転車工業に父と伺った。入口に「スポーツサイクルアルプス」と誇らしげに書いてあったと記憶している。高いビルに囲まれた間口の狭い店であったけれど、僕はとても緊張していたように思う。当時先代の萩原慎一さんとあれこれオーダーのお話をして、体の寸法を採った。傍らではその後何かとめんどうを見てくれた石井さんというメカニックの方が働いておられた。その日から1ヶ月いや2ヶ月いやいや待つ気持ちの中では半年くらいに感じたころ、ようやく完成の連絡が有りALPSへ友人とともに受け取りに行った。萩原さんは親切に輪行(分解した自転車を電車で運んでサイクリングする事)の手順を教えてくれたものでした。初めてオーダーの自転車が出来たこととこれから先最初の輪行(つまり家への帰り道)をする事でそうとう登りつめていたと思う。神田駅でその頃は必要だった有料手荷物?の切符をドキドキしながら初めて買ったことを今でも鮮明に覚えている。
クイックエースは輪行をするために簡単に分解・組立が出来るように専用設計・工夫された最初の自転車でした。その分解方法は当時では斬新なフロントフォークを抜くという画期的な方法をはじめ、リアディレーラーなど輪行のためのパーツ選択も素晴らしく、萩原さんは大変なアイデアの持ち主だったと思います。その後、輪行はサイクリングの一つの形として定着し現在まである。これはまさしくALPSの功績だと僕は思っている。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント