先日、ある会合でのこと。ここら辺(関東・東京あたりという意味だと思う)では雪国じゃあるまいし、そんなに大げさな断熱はいらないよね。とある方がおっしゃるのだが、僕はそうは思っていない。「断熱」とは熱を「あっちからこっちへ伝えない(難い)こと」で、それ自体は冷たい熱からも暑い熱からも同じ性能であると考えている。なので「断熱」そのものは、より高い性能であればより高い結果が得られるはず…である。
暑いのと寒いのを比べれば、寒い方が体感的に我慢できないとか、生存できない可能性があるとか人の生活にとって必然的な断熱の要素が有ったので、我が国でも寒い地方を中心に「断熱」の考え・工法が発達したと思う。それはそうなのだが、そうした断熱はちゃんと暑さにも効く?のである。ひとつ違うのは、寒いときの断熱時に室内の熱源は+になるが、暑いときの熱源は-(逆効果という意味)になってしまう。断熱性能が高いほど、内部の温度は溜め込まれる状態にあるので、室内での熱の発生や窓からの日光の享受は夏には不快になる。これがまずいから断熱材を薄くする(断熱性能を落とす)というのは、冬を考慮に入れると本末転倒である。
ではどうするか?エアコンで冷やす、この場合には間違いなく断熱は性能を発揮して、平たく言えば省エネルギーになる。それではと窓を開ける、これは基本的に外部と同じ温度になるはず(現実はそうではないが)、屋根・壁が有るので窓際以外では日陰程度の可能性がある。ちょうどよい風が吹いてくれれば体感温度が下がりなおいっそう涼しい。断熱された屋根(特に重要)・壁は外からの輻射熱を伝え難くしてくれる。もうひとつは日射を遮ること、太陽の直射日光は最も大きな外的温度要因で、これを遮ることが熱を溜め込まないために是非とも必要なのだ。優れた複層遮熱硝子を用いた窓サッシも直射日光が相手ではまだまだ役不足(冬にはプラスになるので)。簾や葭簀などの古風な方法は現代でも通用する方法なので、これを活用したりこれらと同じ状態を他の材料で再現しても良い。時に応じ方法手法は色々だが「開けたり閉じたり」そうすることで断熱材も本来の性能(寒さも暑さも)が発揮されるようになる。
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